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2018年3月12日月曜日

世界共通語になりつつある「CHIKAN」、根底に日本特有の満員電車と認識の甘さ

去年から、「#Metoo」運動などで世界中から告発が相次いでいる性犯罪。その中で、日本人女性が痴漢被害について書いた本が衝撃を呼んでいる。

「痴漢は絶えず私の胸と背中、お尻を触り続けた。さらにその指が下着の中まで入り込んできて、私の性器に触れた」

 去年末、フランスで発売された『TCHIKAN』(佐々木くみ エマニュエル・アルノー著)。この本では、日本人著者の佐々木さんが12歳のころから6年に渡って受けた痴漢被害の実態を、文章とイラストで告白している。フランスでは50以上のメディアが取り上げ、驚きと怒りの声が上がっている。

 “KAWAII”や“OTAKU”など世界的に知られている日本語の中で、日本の恥ともいえる“CHIKAN”という言葉が世界共通語になりつつあるという。街の女性に話を聞いてみると、実際に被害にあったという声は散見される。

「(痴漢被害は)結構何回かある。満員電車で後ろの方に違和感があるなと」(18歳・女性/高校生)

「今そこで人を待っていて、サーっと触られた。今日大阪から出てきたが、東京怖いねっていう話をしてた」(22歳・女性/会社員)

 警察庁によると、平成28年の痴漢の検挙件数は3217件。ただ、被害を訴えられない人も多くいるとみられ、実際の件数は10倍にものぼると言われている。

「近くに友達がいたわけでもなかったので、(被害に遭っていた時)助けて欲しいとは思っていたけどなかなか自分からは言えなかった」(19歳・女性/学生)

「言えない。間違っていたらどうしようって思う。こっちが被害者かもしれないけど、(言ったことで)逆ギレされたら怖い。後つけられたらどうしようとか」(18歳・女性/学生)

「刺されたらどうしようって思ってしまう。その後のことを考えると、自分では気づいていても言わない方が身のためかなとか」(19歳・女性/学生)

 佐々木さんは、なぜ被害に遭ってから20年たった今この本を出版したのか。『けやき坂アベニュー』(AbemaTV)の取材に対し、「虚弱だった中学1年生の私に、電車の中で下着の中に手を入れて触ってくるのは日常茶飯事でした。このような強制わいせつ罪が日常化している事実は異常です。その原因の1つに女性や子ども、弱者の人権軽視や、好き勝手にいじっていいオモチャのようにみなしている男尊女卑が根強い社会だから、痴漢にこれだけ甘いのです」と訴えている。

 痴漢は単なる性欲の発散だと考える人は多いが、根底には別の問題がある痴漢。その実態について『けやき坂アベニュー』は2人の専門家に話を聞いた。

「病気の一種。成功体験によってやめられなくなる」
 「性の病気の中に『性嗜好障害』というカテゴリーがある。(さらに言うと)痴漢は日本人特有の国民病だということも表している」

 痴漢を病気の一種だと指摘するのは、痴漢加害者の治療や更生を行っている榎本クリニックの山下悠毅院長。さらに、痴漢はギャンブル依存と同じだとも話す。

 「(痴漢の)根っこはギャンブル依存症と同じで、性欲解消でもないしモテないからでもない。痴漢をする方は射精を目的としていない。何度も逮捕されて、毎朝自分で性の処理をしてから会社に行く方もいたが、それでもやってしまう。後天的に脳の中に(痴漢の)行動は面白いとか最高だと本能レベルで入ってしまう。こういうことをやれるかもっていうワクワクやドキドキでチャレンジしたくなって、そして成功体験によってやめられなくなる。そこに依存してしまっている病気」

 注目すべき痴漢の本質は、性欲の解消ではないということ。痴漢はギャンブルや覚せい剤依存症に似た性質を持っており、再犯率は36.7%と性犯罪の中でトップの数字だ(平成27年犯罪白書)。さらに、この病気の発症原因にはある環境が大きく関わっているという。

 「絶対成功する風俗、絶対失敗するガラガラの電車では(人は痴漢を)したいともやりたいとも思わない。あくまでできるかな?どうかな?というギリギリをつく満員電車。満員電車という文化が痴漢という病気を作っている」

 山下氏が指摘する、日本で痴漢が減らない大きな理由の1つが「満員電車」。首都圏で出かける際に電車を利用する人の割合は約60%と高く、通勤ラッシュ時の混雑率も73路線中44路線で150%を超えている。さらに、世界での利用者数の多い駅ランキングでは、1位の新宿から23位までを日本の駅が独占している。

痴漢加害者のほぼ全てが「逮捕されなければ行為を続けていた」
 さらに、日本初の痴漢専門書『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)の著者で、精神保健福祉士の斉藤章佳氏に話を聞いた。

 これまで、痴漢加害者を含め約1200人の性犯罪者の治療に携わってきた斉藤氏によると、治療者に「逮捕されなければ痴漢行為を続けていたか?」と聞くと、ほぼ全ての人が「はい」と答えるという。

 また、痴漢に対して多くの人が誤った認識を持っているとされることについては「200人くらいの痴漢加害者に『対象行為を行うときに勃起をしていたか?』と聞くと、半数以上の人が『していなかった』と答えた。一方で、『電車を降りたトイレなどで射精をしているか?』を聞いても、ほとんどはしていなかった。ということは、性欲以外のところに痴漢の本質がある」と説明した。

 斉藤氏が痴漢加害者の一般的な特徴としてあげるのは「四大卒のサラリーマンで妻子がいる男性」。サラリーマンは電車を使うから一番多いのは当たり前、という見方もできるが「電車の中にはもちろん作業着服の人もいるし、学生もいる。ネクタイを締めたサラリーマンだけではない。圧倒的に多い層が日本の一般的な男性。彼らに何で痴漢したのと聞くと最初に返ってくる言葉がストレス。つまり、ストレスの対処行動として痴漢を繰り返す。そういうメカニズムが出来上がっている」という。

 では、女性の服装が痴漢を引き起こす原因になるのか。斉藤氏は「非常に偏見は多いが、痴漢加害者にどういう人を選ぶのかを聞くと、一番上位にくるのが泣き寝入りしそうな女性、おとなしそうな女性と答える。逆に、露出が多い女性とか化粧が激しい女性を選ぶかというと、自己主張が強そうな人は選ばない」と述べた。

『TCHIKAN』の著者・佐々木さんは本の中で、当時小学生で唯一相談できる相手だった母親に勇気を出して痴漢被害を打ち明けた際のやり取りを明かしている。母親からは「あなたも悪いのよ、わかってる?これからは用心しなさい」と言われたといい、佐々木さんは「それ以上何も言えなくなりました。性について未熟な子どもが大人に相談しても、大人の認識の低さがこういった回答にも繋がりますし、こういった現状が今の日本を表しているのではないか」とコメントを寄せた。斉藤氏は「痴漢の本質を知る機会も少ないし、認知度も低い。そして、被害者に対する理解の低さが深刻な問題だ」と指摘した。

佐々木さん「最悪のことを考えないでください」
 では、痴漢は治療で治るものなのか。斉藤氏は「今日1日痴漢しないためのリスクマネジメントを積み重ねていく治療」として3つの対処法を行っている。

 「1つ目は『再発防止』。性犯罪は被害者がいるので、再発防止をすることは被害者にとっても被害者の家族にとっても、社会にとっても一番重要なこと。再発防止はリスクマネジメントが中心で、まずその人にとってハイリスクな状況を特定して何が引き金になるか自覚させる。例えば、ストレスが溜まっている、満員電車にどうしても乗ってしまった、そこで目の前に女性が密着してきた、これはかなりハイリスク状況。なので、本人の中で『満員電車に乗ったら会社を遅刻してもいいので電車を途中で降りる』というルールを決めておいて、それを実行させる。

 2つ目は薬理的に性衝動や欲求を抑える『薬物療法』。日本では研究が進んでいるが、最近では比較的副作用の少ない薬も出てきていて、ホルモン療法をするところもある。エビデンスがしっかり出ていないが、薬物療法も並行しながら再発防止のプログラムを作っていく。

 最後のポイントは、加害者が性加害行為に責任を取るということ。彼らに『もしあなたの妻や子どもが同じ被害に遭ったらどうするか?』と聞くと、口を揃えて『そいつを殺しにいくかもしれない』と話す。『ではあなたは殺されてもおかしくないことをしたんですね』と言うと、そこでみんなハッとする。つまり、そこには自分が加害行為をやったということが完全に抜け落ちている。自分がやった行為責任をちゃんと見つめてもらうことが、この加害行為に責任を取るというプログラムの最後の視点になる」

 治療に来る年齢層は10代から70代までいるといい、「高齢になると男性の性欲は衰えていくので、ここでも性欲が問題ではない。一番多い層は30代40代の働き盛りのサラリーマン」と性欲の発散だけが目的ではないことを改めて説明した。

 2020年の東京五輪に向けて、山手線全線では防犯カメラを取り付ける動きがあるが、防犯カメラの痴漢抑止について斉藤氏は「効果的な層とそうでない層がある」と指摘。「初犯の方や潜在的な痴漢、これから常習化していきそうな層には多少効果がある。逆に効果がない層が常習化した人たち。彼らに防犯カメラについて聞くと、『防犯カメラがある車両で問題行動を達成した時の達成感。その後、ネットの痴漢サイトに書き込んだとき色々な人に評価される』と答える。彼らの問題行動を逆に更新してしまう側面がある」との見方を示した。

本を出版し、痴漢の実態を訴えた佐々木さん。自殺を考えた時期もあったというが「いま、あの時自殺しなくて本当に良かったと心から思うことが数え切れないほどある。報復が怖かったり、周囲にうまく説明できなかったり、自分が悪いのかと思ったり色々な事情で声を上げられないことも多いと思いますが、被害者は悪くありません。どうか最悪のことを考えないでください」と痴漢被害者へメッセージを送った。

https://abematimes.com/posts/3835733?categoryIds=537591


痴漢は、女権国家日本国特有のものですね。

女権の度合が増える分だけ、依存症持ちの人の人数が増えるのは本当だったんだね....。

やはり、これだね。

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